「持ち家」と「賃貸」、どちらが得か?
この議論は、なるべくお得に暮らしたいと思う人なら、一度は考えることですよね。
持ち家と賃貸「どちらがいいか?」は、こちらの記事で解説しているとおり、”住居に何を求めるか”によって答えは変わります。
でも、「お金が得なのは、どちらか?」の答えは明確です。
今回は、持ち家と賃貸を比較しながら、「どちらが得か」の【結論】を解説します。
持ち家vs賃貸、どちらが得?<比較>
<結論> 値下がりしない家なら、「持ち家の方が得」です。
どういうことかと言うと、「値下がりしない家」つまり、買ったときと同額で売れる家の場合、住んでいる期間の住居費が”タダ”だったことになるからです。
住居費が、タダ!?
厳密には、(ローンを組んだ場合)住宅ローン「金利」、住んでいる間の「管理費」や「修繕費」、売却時と販売時の「売買手数料」等がかかるので、その分も上乗せした額で売れないと”タダ”にはなりませんが、
それでも、値下がりしない家なら「持ち家」の方が得なことは明らかです。
次の式が成り立てば、「持ち家」の方が得ということだよ。
「賃貸でかかる費用」>「持ち家でかかる費用-売却金額」=持ち家が得
例)月10万円の賃貸 vs 持ち家マンション4,000万円
20年後に持ち家マンションを4,000万円で売却した場合
【賃貸】
住居費 家賃10万円 × 12カ月 × 20年 = 2,400万円
更新費 1回10万円 × 10回 = 100万円
<合計> 2,500万円
【持ち家マンション】
ローン支払 11.3万円 × 12カ月 × 20年 = 2,712万円
購入手数料 (4,000万円×3%+6万円)=126万円
管理費 1.5万円 × 12カ月 × 20年=360万円
修繕費 1.5万円 × 12カ月 × 20年=360万円
売却金額 ▲4,000万円
ローン残金 1,886万円
売却手数料 (4,000万円×3%+6万円)=126万円
<合計> 1,570万円
※賃貸更新 2年に1回
※固定金利 1.0%、頭金0円、ボーナス返済なし
※固定資産税、住宅ローン減税は含めず
この場合、20年間でかかった住居費は、「賃貸」2,500万円、「持ち家マンション」1,570万円なので、圧倒的に”「持ち家マンション」の方が得”ということになります。
それに対して、
「賃貸でかかる費用」<「持ち家でかかる費用-売却金額」=賃貸が得
この数式が成り立てば、「賃貸」の方が得ということになります。
例)月10万円の賃貸 vs 持ち家マンション4,000万円
20年後に持ち家マンションを3,000万円で売却した場合
【賃貸】
住居費 家賃10万円 × 12カ月 × 20年 = 2,400万円
更新費 1回10万円 × 10回 = 100万円
<合計> 2,500万円
【持ち家】
<費用>
ローン支払 11.3万円 × 12カ月 × 20年 = 2,712万円
売買手数料 (4,000万円×3%+6万円)=126万円
管理費 1.5万円 × 12カ月 × 20年=360万円
修繕費 1.5万円 × 12カ月 × 20年=360万円
売買手数料 (4,000万円×3%+6万円)=126万円
売却金額 ▲3,000万円
ローン残金 1,886万円
売却手数料 (4,000万円×3%+6万円)=126万円
<合計> 2,570万円
※賃貸更新 2年に1回
※固定金利 1.0%、頭金0円、ボーナス返済なし
※固定資産税、住宅ローン減税は含めず
この場合、30年間でかかった住居費は、「賃貸」2,500万円、「持ち家マンション」2,570万円なので、”「賃貸」の方が得”ということになります。
つまり、“いくらで売却できるか” でどっちが得かの答えが変わる、ということね!
上記のローン支払額や残金等の計算は、こちらのサイトが便利ですよ。
「値下がりしにくい家」の見分け方
「値下がりしにくい家」を買うことができれば得…というのはわかったけど、どんな家が値下がりしにくいかなんて、わかるの?
そうくると思った!
見分け方の条件3つを紹介するよ。
<条件1> 大都市エリア
<条件2> 駅近
<条件3> 建物が魅力的
<条件1> 大都市エリア
首都圏の大都市エリア、もしくは大阪、名古屋、京都、神戸、福岡、札幌などの地方都市の中心エリアを選ぶべきです。
「大都市エリア」の住宅が値下がりしにくい理由
・コンパクトシティ化が進むから
・さらに人口が増えるから
・空き家が増えるリスクが低いから
近年話題になってきている「コンパクトシティ化」が理由のひとつです。
コンパクトシティとは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
今後、「コンパクトシティ化」により、今よりもっと生活に必要な機能が大都市に集約されるので、さらに人口が集中します。
そのため、もちろん空き家が増えるリスクは低く、価格が上がることさえ期待できます。
<条件2> 駅近
2つ目は駅からの距離が近いことです。具体的には、5分以内が理想です。駅直結は最強ですね。
とはいえ、5分以上はダメなのかというとそうとは限りません。
例えば、商店街や商業施設を経由して傘なしで駅まで歩ける場合や、遊歩道が整理されていて信号がない場合などは、7分や8分でも良いでしょう。
5分以内でなくても、整備された遊歩道ならストレスがなく快適だからです。
条条件1で述べた大都市エリアで、駅近の立地が「値下がりしにくい」ということです。
<条件3> 建物が魅力的
3つ目の条件は、マンション自体に魅力があるかどうかです。
魅力があるマンションとは
・存在感がある
・外観やエントランスが綺麗、豪華
・しっかり管理されている
・大手デベロッパー、大手建設
なぜなら、こういったマンションは、中古で売り出した際、内見者に魅力的に映るため売れやすいためです。相場から逸脱した価格でなければ、売り出し価格でさくっと売れることが多いでしょう。
この条件3は、条件1と条件2に比べると少し優先度は下がります。なぜならこの条件3は、条件1と条件2に比べると少し優先度は下がります。なぜなら、マンションの価値(すなわち値下がりしにくさ)は、大半が立地で決まるからです。
条件1〜3すべてを満たす物件が見つからない場合は、条件1と条件2を優先し、条件3については多少妥協しても大丈夫です。
おまけ:「値下がりしそうな家」買ったらダメ?
じゃあ、「値下がりしそうな家」を買ったらダメなの?
そんなことはないよ。
なぜなら、住宅とは”資産価値”だけのために買うものではないからです。
住居とは、家族と暮らすかけがえのないプライスレスな空間です。安らぎの場所であり、人生の多くの時間を過ごす場所です。
もちろん、価格が下がらないに越したことはないかもしれません。
でも、価値が下がる可能性を理解した上で、過ごしたい土地、過ごしたい家を選び購入することは、当然、全く悪いことではありません。
価値観は、人それぞれなので、正解はありませんね。
- 値下がりしない家を買えるなら「持ち家が得」
- 「値下がりしにくい家」の3条件
①大都市エリア ②駅近 ③建物が魅力的 - 値下がりする家を買うのがダメというわけではない